この記事は、
・銀行員としてのキャリアを考え直している
・銀行員としてのこれからのキャリアを悩んでいる
・銀行員からの転職を考えている
そんな思いや考えを持っている方のお悩みを解決することのできる記事です。
私は業界のプロとして、直近1年半だけでも「メガバンク・地銀」で働く方、数十人以上のキャリア・転職支援をおこなってきました。そのリアルな経験をもとにして、銀行員の今後のキャリアを考える上で役立つように、銀行員のための「キャリア戦略」をまとめました。
銀行員の方は、こちらを参考にして、悔いのないキャリアとは何か?考え、行動していきましょう。
銀行は、大転換期に直面している
メガバンクや地銀のビジネス環境は(地殻変動といえるほど)変化が大きく、厳しいものになっています。最近は、こんなニュースがありました。
メガバンクが、数千人〜1万人の単位で、人員削減策を実行する予定のニュース。
【参照】メガバンク 人員・店舗削減加速(東京新聞)
地銀には、全国的に大きな再編の波がきているニュース。
【参照】地銀、半数が本業赤字 再編・廃業も現実味増す(日経新聞)
このように、メガバンク・地銀ともに、生き残りをかけて、人員削減や再編などを行う縮小する流れになっています。20代・30代の人は、まだまだキャリアの先が長く、50代・60代と違い、逃げ切ることができないのが実情です。
今までメガバンク・地銀で働いていると、圧倒的な「安定」が約束されていたかもしれませんが、今やその約束は全く期待できません。そういった状況にも関わらず、2年〜3年ごとに働く場所や職種が変わるジョブローテーション制度もまだまだ当たり前で、自分のキャリアを自ら作ることや専門性を高めることが難しいのが、今のメガバンクや地銀の実情です。
これからの時代で大切なことは「自分のキャリアは自分で守る」と覚悟を決め、自らどういったキャリアを作っていくのか、専門性を高めるのか、考え、実践することです。
もし、今の働く環境で、そういったことに取り組むことが難しい場合は、『転職』という選択を真剣に考え、準備をしていくことが大切になります。
転職活動をする人のリアルな理由
私が、この1年半で数十人のメガバンクや地銀で働く方のキャリア相談・転職支援をしている中で、実際にお聞きした転職活動の理由は、主に下記のようなことでした。
・今の銀行の将来性に不安がある
・キャリアが描きづらい
・自分の歩んでいきたい道と今にギャップがある
・今の環境では案件が少なく、バリバリ働けない
・他の同年代と比較すると、成長速度が遅いように感じる
・お金以外の側面でも、経営の支援がしたい
・やりたいことができるのか?今の環境だと不安
・もう少し頭を使って、経営課題の解決をしたい
・自分で意志決定できる裁量が少ない
「もっと成長したい」「キャリアの見通しがたたない」「自分でキャリアを作れない」といった理由が非常に多く、「もっと早くにスキル・経験をつけ、自らで自らのキャリアを作り上げていきたい人が多い」印象を受けました。
銀行員の転職に大切な3つの『キャリア戦略』とは?
「銀行員」の方が、転職を考える場合、押さえといたほうが良い『キャリア戦略』をここからお伝えします。
結論としては、『①スキル・②成長性・③タイミング』の3つが、とても重要です。
キャリア戦略①「スキル」:親和性と汎用性を考える
「1.転職する企業での業務は、今まで自身が培ってきたスキル(や経験・知見)を活かすことができる十分な親和性があるか?」「2.次の転職先で働くことによって、身につけることができるスキル(や経験)には、汎用性があるか?」
この2つを考えることが、『キャリア戦略』の第一です。
それは、「早くにバリューが出せる」「バリューがあがる」「今後の自分のキャリアの選択肢が広がる」に直結するからです。
キャリア戦略②「成長性」:勝ち馬に乗る
「成長」している業界や企業を転職先として選ぶこと、伸びているところをうまく見極め「勝ち馬にのる」ことは、転職での『キャリア戦略』で必須の考え方です。
「勝ち馬にのる」
有利な方につく。勝った方に味方して便乗する。勝負事に勝った人、事業などで成功した者、力のある人の側について恩恵を受ける。(参照)コトバンク
高い成長が見込める場合、総じて組織の拡大につながります。そうすると、組織には、メンバーポジションだけでなく、そのメンバーをマネジメントするポジションや事業を統括するポジションの枠が増えていきます。
即戦力の採用によって、そのポジションを埋めようとすることもありますが、企業の多くは、現在働いている人の中から抜擢をしています。
そうすると、銀行では考えられないくらい早くにマネジメントや統括ポジションにつくことが可能になり、経験・スキルを磨けるだけでなく、キャリアの価値も大きく向上させることができます。
キャリア戦略③「タイミング」:若いほど・早いほど良い
銀行員から転職をするなら、そのタイミングは「若ければ若いほど、早ければ早いほど良い」です。それは、長く働いていればいるほど、選べるキャリアの選択肢は狭まるためです。
もし銀行員として上のポストを目指していく道、はたまた次のキャリアとして経理やコンプライアンス担当などの道を目指している場合は、銀行員として働くことは悪くはないですが、
もしそうでない場合は、キャリアを考え、早くに転職するか否かを判断し、もしすると決めたなら転職活動の準備を早くにしたほうが良いです。
入社して3年以内の第二新卒のタイミングだと色んなキャリアの選択肢はありますが、30歳を超えると基本的には、未経験職種で転職するのは難しく、「同業界×同職種」か「別業界×同職種」での選択肢しかなく、その選択肢の数自体も少なくなっていきます。
銀行員の重宝される3つのスキルとは?
銀行自体は、厳しいビジネス環境に直面し、縮小や削減の大きな転換期にありますが、新卒で銀行員として入った方のキャリアが銀行と同じように縮小していくわけではありません。
銀行員として、実は、多くの企業から重宝されるスキルが3つあります。
スキル① 金融ノウハウ
金融ノウハウとは、つまり資金調達できる知見があることです。
企業にとって、いかに、安定的かつ良いタイミングで資金を調達するか、は非常に重要な経営テーマで、銀行員として、貸し手側の気持ちやロジックを理解できていることは、企業からすると非常に魅力的なスキルです。
スキル② 会計知識
企業の健康状態をP/L・B/S・CFなどから読み解ける「会計知識」は、自社を理解する上でも、経営計画を立てる上でも、新しいビジネスを立ち上げる上でも非常に重要です。
財務や経営企画だけでなく、営業として転職することになったとしても、この会計知識が、他の営業とのスキルでの優位な差別化ポイントになることもあります。
スキル③ 営業力
銀行員の営業力も重宝されるスキルの一つです。法人・個人問わず、「お金」をお客様に借りてもらう(営業)というのは、メーカーの商品と違い「お金」そのもの自体には、機能や価値の差がないので、非常に差別化しにくいものです。
そのため「お金」を借りてもらうには、「自分」という商品をいかにお客様に信頼してもらうことが必要になります。
社会人としてのマナー、誠実さ、ヒアリング力、人間関係を構築するコミュニケーション力、クロージング力が求められる銀行員の営業力は、他の業界でも十分に活かせることができます。
銀行員の転職におすすめする2つの業界
おすすめ業界① コンサル業界
一番におすすめしたいのは、コンサル業界です。
コンサル業界には、例えば、マッキンゼーアンドカンパニーやボストンコンサルティンググループ(BCG)などの「戦略コンサル」アクセンチュアやPwC、デロイト、EY、KPMGなどの「総合コンサル」、スカイライトコンサルティングやフューチャーアーキテクト、ベイカレントコンサルティングなどの「ITコンサル」があります。
コンサルタントとしての仕事は、銀行員として培ってきたスキル・経験は十分に活かせることができ、今後の市場の成長性も抜群です。下記のように、2023年までに、コンサル市場は、平均成長率5%と右肩上がりに成長していくことが予測されています。
「デジタル領域でのコンサル」市場は伸びはすでに顕著で、2017年→2018年で40.5%の高成長を遂げています。
【参照】https://enterprisezine.jp/article/detail/11888
コンサル業界で経験したスキル・経験は他の業界の仕事でも活かせる汎用性があり、次のキャリアの選択肢を大きく広げてくれることから、コンサルタントは「ハブキャリア」と呼ばれています。
転職で、いきなり銀行員から希望のキャリア「〇〇」を手にすることができなくても、「銀行員→コンサルタント→〇〇」という順番でキャリアを歩むことで、希望のキャリアを手にすることができることもあるのが、コンサルタントとして働く魅力の一つです。
転職相談にのっていると、戦略コンサルへの志望が強いことが多いですが、入ることの難易度、そして市場としてデジタルトランスフォーメーションの流れが大きく伸びていることを考えると、今後は総合コンサルやITコンサルとしてのキャリアも非常に重宝されていくかと思います。
実際、アクセンチュアやPwCからマッキンゼーやBCGに転職する事例も出てきています。
未経験でのコンサル業界への転職について、より知りたい場合は、下記の記事を参考にしてください。
おすすめ業界② フィンテック(金融+IT)業界
次におすすめしたいのは、「フィンテック」の業界です。銀行員として培ってきたもので、特に知識、金融のノウハウや業務プロセスの知見を活かせるのがこの業界です。
既存の金融業界をディスラプション(破壊)するような、革新的なサービスがたくさん出てきており、フィンテックの市場も、コンサル業界と同様に、非常に伸びている業界です。
市場の成長に対して、まだまだプレイヤーの数は足りていない状況でもあるので、早くにこの業界に飛び込む事で、マネジメントのポジションを早くに経験できる可能性があるのが今のタイミングです。
フィンテックのサービス領域としては、例えば、MakuakeやREADYFOR、CAMPFIREなどの「クラウドファンディング領域」、お金のデザインやウェルスナビ、FOLIO(フォリオ)などの「投資・資産運用領域」、クラウドクレジットやクラウドリアリティなどの「ソーシャルレンディング領域」などがあります。
フィンテック業界について、より知りたい場合は、下記の記事を参考にしてください。
銀行員におすすめの転職エージェント
ここでは、数百以上の転職エージェントを知っている私が、銀行員の方におすすめしたい転職エージェントをご紹介します。下記の3つを利用することで、基本的には十分だと思います。
よい案件と出会えない機会損失を防ぐために、一つでなく複数のサービスを利用することがポイントです。
BIZREACH(ビズリーチ) :広くハイクラス案件に出会いたい人向け
この転職アカデミアでも、一番人気の『BIZREACH(ビズリーチ)』は、必須で利用したいサービスです。
先ほどおすすめした業界、コンサル業界・フィンテック業界に限らず、大手企業、ベンチャー・スタートアップ企業などの幅広いハイクラスの案件に効率的に出会うことが可能です。
掲載企業数やヘッドハンター人数、求人数(公開求人数は127,000件以上、非公開求人数は23,000件以上)は、国内トップクラスです。
アクシスコンサルティング:コンサル業界希望者向け
コンサル業界に未経験からのチャレンジが不安、ということであれば、ぜひ利用したいのが、『アクシスコンサルティング』です。
マッキンゼーやBCGといった最高峰の戦略ファームの転職支援は強くないのですが、会計事務所から派生したBIG4(PwC・デロイト・EY・KPMG)やアクセンチュアなどの総合コンサル、ITコンサルなどの支援には、非常に定評があります。
約5,000名の現役コンサルタント、約20,000名の転職志望者を支援した実績があり、コンサル業界との強いパイプをもち、非公開の求人は全体の8割弱を占めています。関東・関西どちらのマーケットの情報にも詳しいです。
コンサル業界への転職を強みにするエージェントは、他にもいますが、基本的にエグゼクティブや40代以上の年齢(年収が高い人)を対象とするエージェントが多く、20代・30代の(コンサル未経験)の方が相談したとしても、なかなかしっかりとサポートを受けることが難しいことがあります。
その点、アクシスコンサルティングは、20代でも丁寧に相談にのってくれるエージェントです。転職のその次までを見据えたキャリアパスを提案することを大切にしており、じっくりとキャリアや転職に向き合ってくれます。
その実績として、ある転職サイトを運営する会社で、質の高いキャリアコンサルティングとして、「Most Valuable Agent」を受賞をしています。
リクルートエージェント:キャリアをじっくり相談したい人向け(年収800万円以上)
リクルートエージェントには、実は、年収800万円以上向けの「ハイキャリア・グローバル・コンサルティング」チームというのが存在します。20代後半〜30代前半にかけて、銀行員の方であれば、年収800万円は超える方も多いかと思います。
選ばれた人しか受けられないサービスなので、もし年収800万円以上の人であれば、「リクルートエージェント」に、ぜひ相談してみてください。
この「ハイキャリア・グローバル・コンサルティング」チームのメンバーの1人1人が各業界・職種に専門特化したプロフェッショナルであり、10年以上の経験を持つベテランコンサルタントも多くいます。
求人企業のご紹介にあたり、リクルートの顧客接点力を活かし、事業戦略や文化・風土をはじめ、一緒に働く方の人柄など、他のエージェントでは得られない深い情報まで伝えてくれるのも特徴です。
まとめ
今回の記事は、
・銀行員としてのキャリアを考え直している
・銀行員としてのこれからのキャリアを悩んでいる
・銀行員からの転職を考えている
そんな思いや考えを持っている方におすすめをさせてもらいました。大きな転換期にある銀行業界、他の業界へ転職することへ不安になる方も多いかもしれませんが、「自分のキャリアは、企業でなく、自分で守る」時代なので、しっかりと自分の今後のキャリアについて考えて、行動してもらえたら幸いです。
20代の転職、20代・30代それぞれのハイクラス転職について解説した記事、リクルートや楽天、DeNAなどのメガベンチャーの年収ランキングを調査した記事などもあるので、ご興味ある方はご覧ください。