この記事は、外資系戦略ファームへの転職を考えている、Bain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)への選考にチャレンジをしたい、ベインを広く深く知りたい、というあなたにオススメです。
ベインを筆頭に外資系戦略ファームは、事業会社と違い、担当プロジェクトの守秘義務があったり、高給ゆえに待遇の情報が出しづらかったりするので、転職を検討するにあたっての情報が収集しづらいことがあります。
今回、コンサル転職の支援も行っている私自身の経験や情報網に加え、コンサル業界や各ファームを調査した本、日本オフィスのサイトだけでなく、グローバルサイトも参考にして、ベインについて徹底解剖した記事を書きましたので、参考にしてみてください。
ファーム概要
Bain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)は、1973年に米国ボストンにて設立。創業者は、元BCG・ヴァイス・プレジデントであったビル・ベインで、設立時には、ビル・ベインを含む元BCGのコンサルタント総勢10名で参画しています。
ADLやマッキンゼー、BCGなどと比べると後発となるベインは、他社戦略コンサルと差別化するために、「1業種1社の顧客第一主義」「成果主義(コンサルティングの質はクライアントの株価によって評価されるべきという厳正な姿勢」というコンセプトを打ち出しました。今でもこのコンセプトは大事にされており、ベインの企業理念は「結果主義」です。
真に進むべき道「True North(真北)」を示すことを信条とし、企業(クライアント)の変革を成功させ、クライアントが市場を上回る業績を実現することを大切にしています。
実際、ベインが支援をするクライアント企業の株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しています。
またベインは、北米、欧州、アジア、南米、アフリカなど、世界37ヵ国、58拠点にオフィスを展開し、約8,000名のコンサルタントが働いています。
信条・特徴
ベインのミッションは「クライアントがトランスフォーメーションを達成すること」です。
True North(真北)の精神である、「常にクライアント、社員、コミュニティに対して正しいことを行う」が信条です。信条を表す姿勢は具体的には4つあります。
【True North(真北)の信条を追求するための4つの姿勢】
① パッションとコミットメント
「結果」を求める熱意、それはクライアントの成功のために全力でクライアントに寄り添うことです。 ベインは最高のクオリティ、プロフェッショナリズム、そして倫理規範の順守をもって揺るぎないコミットメントを確約します。
② オープンで誠実
誠実に、現状をありのままに伝えることを大切にしています。現在信じていることに対して、1%でも誤っている可能性があれば、それを正直に伝えます。
③ 実践的
実践的で「自ら動く」アプローチをもって、業務遂行を重視し、判断をアクションに転換します。
④ One Team
「ワン・チーム(1つのチーム)」の考え方で信頼しあい、敬意を表してお互いをサポートする。常にこの考え方を大切にしています。この行動規範のもと業務を遂行することで、クライアントの成功を実現します。
【参照】ベインの信条
ベインの企業への支援における特徴は下記5つです。
【企業支援における5つの特徴】
① ブレークスルーと持続可能な結果を常に重視
② 熱心で協力的、かつ率直な人材であること
③ クライアントと共に取り組むユニークで効果的な手段を考え、実行する
④ 現状を鵜呑みにしないマインドセットをもつ
⑤ 目的と同様、その過程も重視する
【参照】ベインの活動内容
提供しているコンサルティングサービス
日本オフィスでは、「業界プラクティス」×「機能プラクティス」の2軸の掛け合わせでコンサルティングサービスを提供しています。マッキンゼーやBCGと比べると、提供している幅が広いこと、そしてプライベートエクイティなどの業界プラクティスがあることが特徴です。
【業界プラクティス】22ジャンル
テクノロジー
消費財
産業材、サービス
通信
プライベートエクイティ
金融サービス
小売
自動車
ヘルスケア
産業機械
化学製品
メディア、エンターテイメント
インフラ、建設、建築
航空、運輸
農業
エネルギー、天然資源
林産品(林業)、紙、パッケージ
金属、鉱業
石油、ガス
ソーシャル、公共セクター
公益事業、再生可能エネルギー
航空宇宙、防衛、政府関連
【機能プラクティス】12ジャンル
トランスフォーメーション
戦略
企業買収、合併 (M&A)
顧客戦略、NPS®、マーケティング
業績改善
組織
コーポレート・ファイナンス
チェンジ・マネジメント
アジャイル
オペレーション
サステイナビリティ
デジタル
プロジェクト例
ベインは創業以来、国内およびグローバルのフォーチュン500に名を連ねるクライアントや何千もの地方組織、そして何百もの非営利団体や世界のエクイティキャピタルの約75%に相当するプライベートエクイティ・ファンドの支援をしています。
そんなベインが手掛けているプロジェクト事例を一つご紹介します。
トランスフォーメーション:大手金融サービス業の事業再生
かつて定評を得ていた金融サービス業A社は、高コスト体質に陥り、ビジネスモデルを拡大し過ぎたため、市場競争が激化する中で顧客ロイヤルティの低下に直面していました。ベインは複数年にわたりA社の経営陣とともに、5億ドル超のコスト削減を伴う構造改革に取り組み、成長戦略の見直しを実施。また、主要顧客層の顧客ロイヤルティ獲得を支援しました。これにより、A社の株価は急騰し、金融業界における自社の地位も回復させることに成功しました。
<改善機会>
A社*は新市場の開拓を推し進めるうちに、自社のビジネスモデルの強みを最も活かすことができる顧客セグメントへの注力が手薄になっていました。有力な顧客セグメントへ画期的な新製品やサービスを提供することを怠り、サービス面で勝る大手企業、または優れたテクノロジーを強みとする新規参入企業、あるいはその両者に後れを取っていました。その結果、景気後退期には時価総額が75%以上下落しました。A社は堅調なブランドと強固な資本構造を有していたため、当初は業界内で比較的競争優位なポジションに立っていたものの、攻めの戦略で挑んでくる競合他社を鑑みると早急に行動を起こす必要がありました。経営陣は市場シェア奪還のために顧客へリーチする一方で、社内基盤の規模適正化を図るため様々な対策を講じました。
<ベインの提言>
戦略の見直し:
コア事業の見直しを行い、1事業部門の売却に向けた準備を進める。新CEO は、組織全体がコスト管理に注力できるよう体制を整え、取り組みを主導するCTO(Chief Transformation Officer)を任命し、変革を推進。コスト削減:
初期費用の15%削減を可能とするIT業務のスリム化、および拠点規模の縮小を短期間で実現できる方法を特定し、広告費も大幅に削減。注力すべき顧客層を再定義:
顧客ロイヤルティの詳細なトラッキングを開始。これにより、ターゲットとする新たな顧客セグメントの選定、および既存顧客に向けた新たな取り組みを特定。その後、組織全体の構造再編を図り、新たなコスト構造に基づいたオペレーションを実践し、より優れたサービスを顧客へ提供する。
<結果>
A社はトランスフォーメーションで創出し得る最大限の成果を達成し、5年以内に自社の地位を回復させることに成功。
・5億円を上回る業務コスト削減
・既存および新規顧客におけるNPS® 50ポイント増
・収益成長率 250%
・株価上昇率100%
(参照)ケーススタディ
キャリアパスと年収水準
(出典)ベインでのキャリアここでは、ベインおけるキャリアパス(役職)と年収水準についてご紹介します。
キャリアパス
ベインのキャリアパスは、下記です。(下にいくほど役職が上がります。)
■アソシエイトコンサルタント
新卒学生の方、実務経験が2年未満の方がスタートするポジションです。日々の業務を通じて、これまで学業で学んだことやその他の経験を通じて培った力を試し、高めることができる魅力的なポジションです。優秀な能力を備え、思いやりと助け合いの精神にあふれる仲間と一緒に、やりがいのある課題に取り組んでいただきます。■コンサルタント
コンサルタントは私たちのコンサルティングファームにおけるプロジェクト推進の中核的存在であり、クライアント・チームメンバーとの協働作業においてリーダー的役割を担います。
■ケースチームリーダー
通常、コンサルタントとして経験を積んだ後、シニアレベルの入り口となるケースチームリーダー(CTL)に昇進します。CTLは研修の責任者を務め、大変責任あるポジションとなります。分析プロセス全体を管理する方法を学び、クライアントが抱える課題や属する業界の専門知識を深め、真のインパクトを生む解決策を提言する術を習得します。クライアントに対し、疑問を解く回答を提供するだけでなく、戦略実行により想定されるインパクトの細部までも提示します。■マネージャー
ケースチームとクライアントの双方にとって、リーダーとしての役割を果たします。ファーム内での昇進を経て、マネージャーに就任するケースがほとんどです。クライアントが抱える困難な課題を特定し、クライアントが確信を持って行動を起こせるよう、真に迫るインサイトを提示します。オフィス内ではリーダーシップの一員として発言権を有する立場であり、様々な面において指導的な職務を遂行し、プラクティスに関する専門知識を深め、アソシエイトコンサルタントやコンサルタントをサポートするなど、極めて重要な役割を担います。
■プリンシパル
プリンシパルは大局的なアプローチを実践し、クライアントが抱える困難なビジネス上の課題を解決に導きます。マネージャーとパートナーの中間に位置するポジションであるため、チームのやる気を奮い立たせ、日々の業務を通じてチームを指導し、クライアントが確信を持って行動できる戦略的ビジョンを掲げることで、ベインとクライアント上層部との関係を深められるようにすることに至るまで、その責務は多岐に渡ります。ベインのプリンシパルを務めることで、組織およびオペレーション改善のための、明確な仮説や突破口となる分析、実行可能な戦略的インサイトを突き詰める能力を一層高めていきます。■パートナー
ベインのパートナーに指名されることは、あなたの個人的長所やこれまでの偉業が正式に認められたことを表し、重要な責任を担う立場となります。
・クライアントとの長期的な関係を構築し、ビジネスを成功に導き、サクセスストーリーを描く
・ベインおよびクライアント、両社の企業の成長に対し、大きく貢献する
・ケースチームと共に革新的な戦略を明確に定め、その結果の達成に対する説明責任を担う
・研修、採用、コーチングおよび企業の社会的責任といった重要な社内プロセスにおいて根本的な役割を果たす
・少なくとも1つのケイパビリティおよび1つの業界に関する専門家として認められる人物となる
(参照)採用ポジション
年収水準
ベインの各役職ごとにおける、年収の目安は下記です。
トレーニング
ベインでは、下記のようなトレーニングが用意されています。
ベインは包括的かつ個人に合わせたトレーニングを提供しており、ベイン在籍中だけでなく、その先のキャリアにおいても、成功するために役立つ学びを得ることができます。トレーニングは年一回のイベントではなく、ベインで働き始めたその日からパートナーになるまでのキャリア全体を通して、常に続きます。
社員は定期的に研修を受け、キャリアのレベルアップを図ります。研修の内容は、トレーナーによる講義に加えて、小グループに分かれてプレゼンテーション、演習、ロールプレイ、参加者の経験の共有セッションなどを通して楽しみながら学びます。
(参照)世界最高水準のトレーニング
働く環境・制度
<働く環境>
ベインは創立当初から、シンプルな“成功の方程式”を持ち続けています。それは、「優秀な人材がそのあふれる才能を遺憾なく発揮できるよう、社員の成長を加速し、支えあうカルチャーを創る」ことです。クライアントに圧倒的な結果をもたらすような優秀なチームを構築するというベインのミッションを達成する上で、ダイバーシティは非常に重要です。
ベインは類まれなる才能と能力を持った最高の人材を採用しますが、同時にその多様性を尊重しています。また、採用した人材を育成し、個々が最大限の力を発揮し、成功できるようなチャンスを提供しています。
<働く制度例>
・エクスターンシップ
6カ月にわたって希望する会社で社外研修(優秀なAC、SACおよびコンサルタントが対象で、通常ベイン入社から3年目に実施)・トランスファー制度
ベインの海外オフィスで(一時的もしくは恒久的に)働く機会の提供・「テイク・ツー」
個人の目標達成のために使用できる2カ月間の休職(一定条件を満たす必要)
(参照)べインでのキャリア
実際に、ベインで働くメンバーの声です。
採用ポジション
募集ポジション
「アソシエイト・コンサルタント」:実務経歴が3年未満
「シニア・アソシエイト・コンサルタント」:実務経歴が3年以上、5年未満
「コンサルタント」:実務経歴が5年以上
「ケースチームリーダー、マネージャー、プリンシパル」:実務経歴が10年以上応募資格
・2年以上の実務経歴をお持ちの方(アソシエイト・コンサルタントの場合)
・英語・日本語ともにビジネスレベルの方
※日本語が母国語でない方は日本語能力試験N1またはそれ相当の上級レベルの日本語力(会話・読解力)
・日本での就労ビザが取得可能である方勤務地
東京または他オフィス(希望可)
(参照)募集要項
求める人材
ベインの求める人材は、下記です。
ベインは前職で培われた専門的経験を高く評価します
ベインは幅広い業界にわたり、様々なクライアントを支援することから、実務経験を有する方が持つ専門知識やインサイトは、ベインにとって非常に有益であると認識しています。最高の人材と多角的視点、この2点が揃うことで初めて、世界のビジネスが直面する困難な課題を解決することが可能となります。
そのためベインは、金融、法律、コンサルティング、教育、軍事、ヘルスケア、政府関係およびその他の様々な業界経験者や、多彩な経歴を持つ優秀で知識豊富な人材を積極的に採用しています。
<求める人材>
・信頼できるチームプレイヤーであると同時に、自主的思考の持ち主
・納期厳守で計画的、マルチタスクに長けている
・口頭・文書による表現に優れ、数量的能力およびプレゼンテーション能力が高い
・優れた分析的思考
・海外出張および駐在の意欲がある(本人が望む場合)
・英語が堪能である
(参照)コンサルタント中途採用
選考プロセス
ベインの選考プロセスは、「書類選考」→「筆記試験」→「ケース面接3回〜5回」です。
経歴によっては、適性検査を実施しない場合や、ケース面接が少ない場合があります。
筆記試験は、現時点では「GMAT」のタイプの試験が出題されるので、本屋などで対策本を購入して対策するのがおすすめです。ベインのサイトでは、選考全体で重視するポイント、ケース面接で重視するポイントやTips(コツ)が紹介されているので参考にしてください。
<選考全体で重視するポイント>
①問題解決能力
クライアントに実行可能な解決策を提供するため、複雑な問題を構造化し、創造的に物事を考えられる能力が求められます。このようなスキルは、チームでの共同作業、学業、グループ活動、個人プロジェクトなどで発揮されているはずです。
②リーダーの資質
ベインは、チームに貢献するだけでなく、チームを変革へ導くことができる能力を備えたトップリーダーの育成に力を入れています。仕事、学校、課外活動などでリーダーシップを発揮した経験は、選考でも重視されます。
③「結果」を出す
ベインには、クライアントの事業戦略上の目的達成や企業価値向上に貢献し、定量化可能なインパクトを実現するという「結果」を創出してきた、誇るべき歴史があります。これまで何らかの組織やプロジェクト、チームの成功につながるような、定量化可能な変化をもたらした経験を是非聞かせてください。
④情熱
私たちにとって情熱は、譲れない重要な要素です。個人としてもチームとしても、課題解決を目指して粘り強く、熱心に取り組む人材。つまり、目の前の仕事、ひいては世界に変化をもたらすことに心血を注ぐことのできる方を求めています。
<ケース面接で重視するポイント>
・問題解決のアプローチ
・分析力とクリエイティブな思考性の有無
・提言構築のためにどのようにデータを活用して課題を定量化するか
・自身のアイデアを伝えるコミュニケーションスキル
・提言実行のための提案内容
<ケース面接でTIPS(コツ)>
・「面接」ではなく「実際のビジネスにおけるディスカッション」だと捉え、
ビジネスにおける判断力を証明するために、本質を突いた議論ができるように心がける
・答えにたどり着く事を意識する: 面接中に何を解くべきか、考えるべき質問に集中する
・常に現実的に考える
・コミュニケーション・対人スキルのアピール
・よく話を聞く
・無理にフレームワークを使わない
・自分の考え方を面接官に伝える
・数学の能力を鍛える
・練習し、リラックスして臨む
(参照)面接準備・対策
ベイン・アンド・カンパニーに転職におすすめのサービス
『BIZREACH(ビズリーチ)』は、ハイクラス転職において、圧倒的No.1の転職サイトです。2009年のサービス開始以来、テレビ・新聞・雑誌など多くのメディアで紹介されて、現在ではCMも多く配信されています。約10年ほどで、求人件数、採用企業数、登録ヘッドハンター数も日本最大級のハイクラス転職サイトになっています。
戦略コンサルへの転職支援実績が豊富なエージェントも多く登録しています。戦略コンサルの転職難易度は、ご理解いただいているようにかなり高く、コンサル各社の最新の状況の把握、ケース面接など選考対策などが必要になるため、必ず経験・実績豊富なエージェントに相談し、対策のサポートを受けましょう。
まとめ
ベインについて、あらゆる切り口でご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
今回の記事は、外資系戦略ファームへの転職を考えている、Bain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)への選考にチャレンジをしたい、ベインを広く深く知りたい、というあなたにオススメさせてもらいました。
ご参考になれば幸いです。
マッキンゼーやBCGのこと、戦略コンサルの対策本について知りたい方は、下記の記事をご参考にしてください。